労務についての問題は、医療機関それぞれです。法改正や労働トラブルの傾向を理解し、速やかな対応を図っている医療機関がある一方、中にはサービス残業が多く、労務問題を内包している医療機関も見られます。
医療機関における労務面の代表的な問題は、次のものがあります。
【長時間労働・不適切な労働時間管理】
医療機関は、以前は長時間労働が当たり前の業界でした。当直明けでもそのまま日勤に入り、医師や事務職員を中心に時間外労働が月に100時間を超えることが普通で、まだその体質が残っているように思います。また、関連して労働時間の把握が適切に行われていない実態があります。
【就業規則等の規程類の未整備】
医療機関の多くは、労働各法の改正にその都度対応できていないようです。かなり前に作った就業規則をずっと使っていたり、他の医療機関の物を使い、実態と全く合っていないなど、リスク管理ができていないところが多いです。
また、就業規則を作ると、年休や育児休業など労働者の権利を主張され、勤務体制が崩れて診療に差し支えることから、作成に難色を示される場合もあります。しかし、職場で伏せていてもネット社会の現代においては、情報は容易に入手できるため、このような対応はかえってマイナスになることが多いです。
【メンタルヘルス不全】
他の企業同様、うつ病などメンタル面に問題を抱える職員が増えてきています。メンタルヘルスへの対応は大きな課題といえるでしょう。医療機関はうつ病への対処方法は当然一般企業より理解されていますが、勤務のさせ方や休職、雇い止めなどの対応についてどうしたら良いかというご相談を良く受けています。