看護師さんをはじめ、職員を確保するのは大変な状況です。
医療機関の通勤圏内にどれだけの看護師さんが住んでいるかを考えても、そのパイは限られていますので、募集してもなかなか応募が少ないのも当然のことかもしれません。
それならば、職員さんが定着する職場作りという発想はどうでしょうか。
看護師さんの平均勤続年数は3年程度と言われますが、中には5年から10年という医療機関もあります。
このような医療機関に共通しているのは、「安心して働ける職場である」ということです。
これには、「マズローの欲求5段階説」がヒントになります。
① 生理的欲求 生きていくための食欲・性欲・睡眠欲など、人間の本能的・根源的な欲求
② 安全の欲求 危険から身を守り、安定・安全な状態を得ようとする欲求
③ 集団の欲求 集団や社会に属して、誰かに愛されたいという欲求
④ 承認の欲求 自分が集団から価値があると承認されたい欲求
⑤ 自己実現の欲求 自分の潜在的な可能性の探求や自己成長を図ろうとする欲求
①が一番下位の欲求で、⑤が一番上位の欲求です。
下位の欲求が満たされば、上位の欲求を求めるようになります。
例えば、休日が少ない、残業が多い、有給休暇が全く取れないという状態で、皆疲れきっている職場では、生理的欲求が満たされていない状態です。
このような職場で、表彰制度を導入して承認の欲求を満たそうとしても、効果がないことが分かります。
まずは、生理的欲求を満たすことから始め、徐々に上位の欲求を満たす必要があります。
多くの医療機関では、この順番が間違っていることがあり、折角職員さんのためにした取り組みも、効果が得られないという状況があります。
これは、とても残念なことだと思います。
あそこは賃金が安いが、人手不足にならないのはなぜだろう?
と思われる医療機関はないでしょうか。
おそらく、賃金は地域で一番低いけれど、休みがしっかり取れ、職場の雰囲気が良く、それぞれが相手を尊重しているような職場ではないでしょうか。